眠たいわけでも
体調が悪いわけでもなかった。
ただ、このままこうして布団に入っていたかった。
起きたくなかったし
考えたくなかった…
やらなきゃいけない事はわかってる。
でも、すべてから逃げ出して
こうして居たかった…
…でも
あの子達のひそひそ声が聞こえてくる…
(…どうしよう…声、かけてみる…?)
(しっ、だめ!ビコ師匠は疲れてるんだよ…)
(冷めちゃうから、スープは起きてきてから、よそおぅよ…)
(でも…、体の具合が悪いんだったらどうする…?
もしそうなら、お医者様呼ばなきゃ…)
(…えっ…、具合が…!?)
(わ、分からないけどっ、そうかもしれないだろ…)
温まったスープの匂いと、あの子達の声…
今、ボクには、あの子達が居て…
ボクはあの子達の(お師匠さま)で…
……。
ボクの、お師匠さま、は…?
今、どうしてるの…?
…無理して負った、火傷…
……、
ボク…師匠が辛いとき
…支えになれなかったんだ。
…ごめんなさい…
(でも、……でも、どうか、無事で…、)
「師匠…」
呟いたら、涙と一緒に力が湧いてきた。
辛いことも、整理の付かない気持ちも
いっぱいあるけど…
ボクはここで
布団に包まってちゃ
いけない…
…師匠のために
ボクにも、出来ることがある…
出来ること…がんばらなくちゃ。
あの子達だって心配してる
ボクがこんな様子じゃ不安がる…
「…よしっ」
着替えを済ませて、
部屋を出ようとしたちょうどその時…
(トン、トン…)
「…、ビコ師匠ぉ…?」
「…あ、起きてた!」
出頭にあの子達と鉢合わせる。
「ごめんね。寝坊しちゃった!」
そう言って笑うと
嬉しそうな笑顔が返ってくる…
「…スープ、温まってますよ!」
(ボクが守らなくちゃ…)
そう思っていた子供達の
柔らかい笑顔に
心がほろりと解れる
(…ありがとう…)
嬉しくて笑ったのに、
ポロリと
涙がこぼれた
−−結−−
2006.10.13
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